2014年10月28日火曜日

11月9日(日曜)夜。大分のBRICK BLOCKで演奏します。

大分のBRICK BLOCKで演奏します。11月9日(日曜)夜。西大分駅から海に向かって真っ直ぐ行ったところ。

ちょうど1年前に伊太地山伝兵衛、スティーブガッド、佐山雅弘、村上秀一のバンドのために書いたコード譜を読み返しています。あのひとが井上陽水さんの「戸惑うペリカン」を"Pelican Lost In Love"と訳したのは初出にして最後の名訳となってしまい本当に残念。こうしたちょっとした所にも不世出なセンスを持っていたと思います。

9日は、おおいに賑やかにやりましょう。
みなさんに会えるひとときを大切にします。


 
Pelican Lost In Loveの特徴はBがm7だということに尽きます。この和音がこの曲をブルーズとフォークの世界たらしめていますね(ジャズやシャンソンとは一線を画しています) 。たとえば小島良喜さんなら「Bm7にきまってるやん」と言うでしょう。

一方でふだんの伝兵衛さん(そして佐山さん)ならばここはBm7♭5と弾くところ。そうした4度進行やハーフディミニッシュ、オルタードスケールの要素は色彩でいうと「カラー」にあたり、場合によってはカラフル過ぎてしまう。そこでここは「ただのマイナーセブン」を使って色彩をモノクロームに抑えるという感じかな。

さて、あの夜の「湘南レイニーデイズ」のコード譜はたったのこれだけ(下画像)です。もちろんこれは単なる土台であって、本番はいくらでもサイズが長くなります。こちらには4度進行とハーフディミニッシュがたくさん使われていてカラフルかつ叙情的。美しい海を舞台にした切ない別れの曲らしい音世界です。


一見何の変哲も無い単純なコード譜ですが、実はキーが一音下がっています(もともとDだったものがCに下がっている)。これは「声は出るが、頑張って張り上げたくない(落ち着いた感じで歌いたい)」という意図的なものだったと記憶しています。

2014年10月19日日曜日

秋深し。眠り浅く、夢うつつ。

ずいぶんハッキリとした夢を見た。

地方都市のホテルに宿泊している(ここから既に夢)。このホテルの大宴会場で演奏するらしいのだが。泊まる部屋がなかなか決まらないので、会議室の古いピアノで練習しているのだ。

会場に向かうが現場は揉めていた。機材が足りない、いや揃った。出演順は?、セットリストは?曲のキーは?とスッタモンダしているうちに「開場まであと30分ですので」と追い出される。

蛍光灯が眩しい白っぽい楽屋。ポンタさんが話しかけてきた「おっ!タネダお前も出るんだっけ。なにやんの?」「石井さんとピアノトリオですよ」「へえー・・。えっ、俺が叩くの?早く言えよ!」「・・・」

取り仕切っているのは伝兵衛さん。遅刻して楽屋に現れる。「ヤッホー」「でさあ・・、石井ちゃん今日なにやるんだっけ?」「タネちゃんは?」「ほーう。インストですか。偉くなりましたな(ニヤニヤ)」「実はギャラ出ませんが、いやウソです。では本番ひとつよろしく」

本番が始まった。あれ?佐山さんがいる。シャンデリアを消した薄暗いホールに「ウエスが聴こえる」が溶けていく。アタマの感覚も気持ち良く痺れていく。深いエコー。何をやっても辻褄が合う不思議なバンドだ。煙草の香り。夢か、うつつか。「ここまで全て」が、まるで日常のように、なめらかな夢。




ちょうど1年くらい前の八王子。「シャーロックホームズ音楽祭」で伝兵衛さんと演奏した(ここからは現実)。この夜「平山みき」さんがメインで伝兵衛さんがサブのような扱いになっていて、伝兵衛さんはあまり機嫌が良くなかった。

でも伝兵衛さんのステージは大変素晴らしいものだった。平山みきさんの華やかなカリスマと歌唱力も流石だった。満席の客席に知った顔もおらず、そう、知り合いに一人も会わなかった不思議な夜だった。夢だったかのようなふわっとした記憶だ。主催者はホテルの部屋まで取ってくれていたが、伝兵衛さんは「帰ろう」と膠(にべ)もなく車に機材を積んだ。

このあと、帰り道で警察とトラブルになった。その警官数名は、進入禁止の路地の奥で待ち伏せしていたのだ。伝兵衛さんは執拗に反駁し続けた。

「あのね、あなたたち警察は、この進入禁止の標識が見にくいの知ってたんですよね?」「標識があるのは、ここで事故が起こりやすいからですよね?」「事故を抑止するのが警察官の仕事じゃないんですか?」「危険な進入を隠れて黙って見ていたんですか?事故を誘発してるにも等しいですよね。」「訴えますよ。」

警官はうんざりするように言った。「はい、もう今日はいいですから、これから気をつけてください。行ってください。」

伝兵衛さんと会ったのはこのときが最後ということになる。帰り道はスティーブガッドとのライブのエピソードを実に嬉しそうに話してくれた。「スティーブもマネージャーも「また是非」って言ってくれたから来年はブルーノートで皆んなでやれるよ」なんて。

この夜は写真がたったの2枚。写真なんてまたいつでも撮れると思っていた。
八王子のシャーロックホームズの写真と、湘南のフリースタジオに立ち寄って浅葉くんに会ったときのもの。

そうだ。フリースタジオ湘南にも、もっと行っておきたいね。


後悔のない日々を送るって、難しい。